Remington:New Model Army Hartford Co., LTD

 サミュエル・コルトが『コルト特許火器:Colt Patent Firearms(通 称:コルト)』を設立したのは1836年だが、その20年前の1816年にアメリカで最も古い歴史を持つ銃器メーカーが誕生している。それが『レミントンアームズ社:Remington Arms(通称:レミントン)』である。
 レミントン社は、元々が創業者であるエリファレット・レミントンが自分用のライフルを作っていた所、その出来の良さに感心した射撃の仲間たちが、彼にライフル銃の製造を依頼した亊から誕生した会社である。
 コルト社やS&W社と同様、レミントン社は今でもアメリカを代表する銃器メーカーであるが、現在製造しているモデルの殆どは狩猟用のライフルや散弾銃となっている。

 1856年にコルト社が持つ『シングルアクション機構』の特許期間が終了した事は、S&W Model 2 のページにも書いたが、翌1857年にレミントン社でも、5連発、31口径のパーカッション式のリボルバーを発表した。
 レミントン社では、その後も様々な機構の拳銃を開発しているが、中でも一番有名なのは、小型拳銃の代名詞にもなっている『デリンジャー』であろう。上下二段の短い銃身(バレル)を持つ二連発の銃で、手のひらに収まる程のサイズのこの銃は、現在でも護身用等として製造されている。1865年に第16代大統領のリンカーンの暗殺に使用されたのもデリンジャーであるが、このダブルバレル・タイプのデリンジャーの開発は1866年であるので、それ以前のモデルだと思われる。

 南北戦争が勃発した1861年、レミントン社では今までのノウハウを組み込んだM1861というリボルバーを発売する。このM1861には口径の違う Army と Navy があり、かなりの数が製造された。そして1863年に更なる改良を加えて完成したのが、レミントン社のリボルバーでは最大の成功作である New Model Army と New Model Navy である。
 この銃はパーカッション式であるが、写真を見ると解る通り、本体の構造はコルト社の M1861 Navy のオープントップ・フレームと違い、銃身までが一体のソリッド・フレームである。これによって銃そのものの強度は格段に強くなっている。しかし、弾込めに手間の掛かるパーカッション式の銃であるので、シリンダーは簡単に取り外す事が出来る構造になっている。

 上の写真はハートフォードのモデルガンである。グリップは付属のプラスチック製のものから、キャロムショットの木製の物に交換してある。
 ハートフォードは、このレミントン社の New Model Army のバリエーションを何種類か発売していて、銃身の短いショート・バレル・モデルや、パーカッション式である New Model Army をS&W社の特許に觝触しないよう改造した金属薬莢を使用するゲート付きのコンバージョン・モデル等も発売している他、金属薬莢を使用する事が可能なシリンダーをプションで発売している。
 また、モデルガンだけでなく、BB弾を発射する事が可能なエアソフト・ガンもライン・アップしている。

銃弾を装填する為に、特殊な工具を使わずに、シリンダーを取り外す事が出来る。  左はオプションの金属薬莢使用のシリンダー


 この New Model Army が活躍する映画は、何と言ってもクリント・イーストウッドの1985年のアメリカ映画『ペイルライダー』である。
 主人公のプリーチャー(牧師)が使用するのは、ノーマルなタイプに金属薬莢を使用するシリンダーを装着したモデルである。そのために、主人公のガンベルトは、金属薬莢と共に金属薬莢を既に装填した状態のシリンダーをそのまま収納する事が出来るようになっている。そして最後の対決の場面 では、酒場で敵役を撃った主人公が通りの真ん中に立って、悪徳保安官達を挑発するように、使用済みの薬莢が入ったシリンダーを新しい弾が装填されたシリンダーに交換する場面 が描かれている。そして、6人の保安官助手を次々に倒した主人公は、更に同じ場所に戻ってやはりシリンダーの交換を行い、わざわざ銃をホルスターに戻している。これが格好良いのである。M1861 Army のページにも書いたが、クリント・イーストウッドは、この銃を使ってこれがやりたくて映画を撮ったのではないかと思いたくなる。

映画『ペイルライダー』から 金属薬莢の装填されたシリンダーを交換する場面 は格好良い!

 ちなみにハートフォードのパッケージには、2丁の New Model Army を構えるイーストウッドのイラストが描かれている。
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