Colt:Python .357 Magnum 6inch Kokusai

 コルト社については 51Army 等のページで色々と書いたが、アメリカ西部開拓史に深く名を刻んだ大ヒット・リボルバー『モデル・シングル・アクション』の成功によって、大きく発展を遂げた。
 しかし、1800年代後半から開発が進んだ自動式拳銃の普及と性能の向上によって、技術的にはある程度完成してしまったリボルバー(回転式拳銃)の需要は減少し始めた。
 コルト社でも自動式拳銃の開発には力を入れており、1911年に45口径の自動拳銃M1911『コルトガバメント』が米軍に採用され、1915年には後年ウッズマンと呼ばれる事になるスポーツ競技用の銃(ワイルド7の主人公・飛葉の銃)を発表している。しかし、リボルバーの分野では最大のライバルであるS&W社に後れを取っていた状態であった。
 そんな中、SAAの設計思想に基づき、当時最強であった.357マグナム弾(通 常の弾丸よりも火薬の量を増やし威力を増している)を装填・発射可能なダブルアクション方式のリボルバーとして1955年に登場したのが、この『コルトパイソン』である。

 コルトパイソンの特徴は、何と言っても個性的な銃身である。
4インチが人気と聞いた事があるが、私は何と言っても6インチが好きである。
 

 パイソンの一番の特徴は、何と言ってもバレル(銃身)上部のベンチレーテッドリブと呼ばれる四角い穴が開いた放熱システムである。実際には拳銃でこうしたシステムを取り入れる必要があったかどうかは疑問のようであるが、バレル下の銃口まで伸びたアンダーラグと併せて、一目でパイソンという事が解る特徴となっている。銃身は2.5インチ、4インチ、6インチ、8インチの4種類があり、8インチは『パイソンハンター』と呼ばれ、1980年に発売された3インチモデルは『コンバットパイソン』と呼ばれている。
 また、銃器メーカーの老舗であるコルト社のメンツをかけ、仕上げの丁寧さと、1丁ずつ熟練工が調整を行うという製造方法により、半世紀以上経った今でも「リボルバーのロールスロイス」と呼ばれていたが、1980年代以降はコルト社の経営状況の悪化に伴って、質が落ちたという話も耳にするのが少々残念である。

 写 真は、コクサイのモデルガンで、6インチのスーパーステンレス・モデル(プラスチックだけど)である。
 コクサイはトイガン・メーカーでは老舗であったが、2003年に工場が火災で焼失し、それによって残念ながら倒産してしまった。現在はサンプロジェクトがコクサイのブランドで商品を製造している。
 材質はABS樹脂であるが、ステンレスっぽいヘアライン仕上がなかなかお洒落である。


 私がこのコルトパイソンを最初に意識したのは、望月三起也さんの漫画『ワイルド7』である。このワイルド7に登場するメンバーの一人・オヤブン(元ヤクザの親分)の使う銃がこのコルトパイソンであった。
 そしてもう一つ強烈な印象を与えたのがアメリカの小説家チェスター・ハイムズが誕生させた警官コンビ墓堀りジョーンズと棺桶エドが活躍する映画『ロールスロイスに銀の銃(Cotton Comes to Harlem)』である。この2人の黒人警官が活躍する舞台はニューヨークのハーレム地区で、そこで発生する事件を、結構ハチャメチャな捜査で無理やり解決していくのだが、小説のシリーズの中では別 にコルトパイソンは登場しないのだが、1970年に公開されたこの映画では主人公が使っているのが銀色のコルトパイソンであった。
 我が家には親の好みでハヤカワ・ミステリの小説が随分あったので、多感な中学生であった私も随分こうした本を読んだ(読まない方が良かったかも?)が、その中にチェスター・ハイムズの『墓掘りジョーンズと棺桶エド』のシリーズもあった。まぁ今思えば中学生にはあまり相応しくない大人の小説であったと思う。

You Tubeで見つけた『ロールスロイスに銀の銃』の画像
右は、棺桶エド・ジョンソン役のレイモン・サン・ジャック


 映画を観たのは多分大学生の時だったと記憶している。その後何度かテレビの洋画劇場などで観たが、なかなかお洒落なセリフとスピーディーなテンポで楽しいアクション・コメディ映画に仕上がっていた。
 実を言うと、私は近代的な様子のステンレスの銃はあまり好きでは無いのだが、この映画の印象が強いのでコルトパイソンだけは、銀でなくてはいけないのである。(映画の銃はステンレス使用では無くてメッキのピカピカのタイプだったけど)。

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