Colt:M1961 Navy Craft Apple Works
 コルト社のパーカッション式のシングルアクション M1848 は、軍隊で正式に採用されたが、1.8kgという重量もあって、基本的には馬の鞍にホルスターを取り付けて使用していたそうである。それに比べて口径を44から36にサイズダウンした M1851 は、1.2kgと軽量になったため、西部劇などで良く見られる腰に付けるタイプのホルスターで利用されるようになったこともあって、1853年にはイギリスでも製造された程である(因に1853年はペリーが浦賀に来航し、日本に開国を迫った年)

 1856年、コルト社が持つ『シングルアクション機構』の特許期間が終了し、翌1857年にはコルト社のライバルとなる『スミス&ウェッソン:Smith & Wesson(通称S&W)』が、金属薬莢に関する特許を取得して、世界で最初の金属薬莢を使ったシングルアクション機構の拳銃を発売した。
 そうした時代の流れの中でS&W社に金属薬莢の特許を押さえられてしまったコルト社は、1860年に M1848を更に改良したM1860を開発。翌年には M1851を改良したM1861を開発した。その後1866年にS&W社の金属薬莢の特許の期間終了後、コルト社も金属薬莢のリボルバーを製作し始めたので、この M1861 は、コルト社が作った最後のパーカッション式の銃となった。

 このように拳銃のシステムはパーカッション式から金属薬莢の時代へと変革して行く。そんな中でガンスミスと呼ばれる鍛冶屋が、コルトを始めとしたパーカッション式の銃で、金属薬莢が使用できるように改造を始め、これが銃の利用者達からはもてはやされるようになった。コルト社でもS&W社の特許に触れないように改造を施したという。こうした金属薬莢を使用できるように改造されたパーカッション式の銃は『コンバージョン・モデル』と呼ばれている。
 M1851 Navyと同様に、M1861 Navyも工具無しで簡単にシリンダーを取り外す事が可能になっている。
 


 写真のM1861は、 M1851 Navyと同じ、日本のモデルガン・メーカーであるクラフト・アップル・ワークスが発売している36口径の Navyモデルで、実際に手に取ってみると、M1851との主な違いはバレルの形状である。八角形の直線を基調としたバレル形状のM1851と比べると、円形と流線型を基調にしたM1861は随分と印象が違うと思う。
 このM1861が作られた1861年は、アメリカで南北戦争が勃発した年でもある。そして1862年、コルト社の創設者であったサミュエル・コルトが47歳という若さで亡くなっている。

 M1861 は映画ではあまり活躍しない。しかし、M1851のページでも挙げた1976年のアメリカ映画『アウトロー』では、クリント・イーストウッド扮する主人公が、最後に腰から引き抜く銃が M1861 である。

映画『アウトロー』から このホームページを纏めるために画面 を見ていてM1861 Navy に気付いた。
 
 この主人公は7丁の銃を身に付けているが、銃の種類は1種類では無く、M1851やM1861の他にも、M1848や、左脇のホルスターにはM1851の銃身を短くしたモデルを入れている。これは、主人公が倒した相手の銃を手に入れて来たというクリント・イーストウッドなりのリアリティーなのではないかと思う。

 また、同じくクリント・イーストウッドの1985年のアメリカ映画『ペイルライダー』では、主人公と対決する悪徳保安官の6人助手達がM1861のコンバージョン・モデルらしき銃を使っている。
映画『ペイルライダー』から 金塊を掘り当て、酔って敵役を挑発した男に、悪徳保安官と助手達の銃が火を吹く。
 

 この映画の主人公は、プリーチャー(牧師)と呼ばれていて、最初登場する時には銃は手にしていない。しかし、途中で貸金庫に預けてあった銃を手に取り、この6人の保安官助手と、保安官を倒して去っていく。
 その手にした銃はレミントン社のモデル・ニュー・アーミーのコンバージョン・モデルで、撃ち終わった銃のシリンダーごと取り換える動作がなかなか格好良い。何だかこの銃のシステムをアッピールしたいがための映像の様な気がしないでもないが… これについてはその銃のページで紹介したい。
 

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