次に金粉を練る膠溶液です。 前の項でもあったように金泥に含まれている“金”は、金属の特性を保ったままですから、この膠溶液は金属である金粉を紙から剥離させない大切な役割を担っています。 膠(にかわ)は、動物の皮革や骨髄から採取される強力な糊ですが、採取した動物の種類と採取方法によって、その特性は変化してしまいます。そこで福島氏は同一製造所の同種類(福島氏は日本画等でも使われる鹿膠を使用)のもので、同じ程度の色調の膠を使って、金泥に最適な膠溶液の濃度の測定を始めました。 福島氏は毎日少量
の金泥を作っては書き味を試し、根気強く試行錯誤を繰り返しながら、自分にとって一番書き易く、磨いても金が離脱しない膠溶液の濃度は1.3%が適当であるという結論に達しました。 100ccの蒸留水に1.3gの膠を入れて、温度約40度で溶解させて作った膠溶液を、金粉に少量
入れて混和しながら練和状態になるまで良く練る事で、しっかり書写できる(金が紙になじんで剥離しない)金泥を作り、福島氏は書写
に使用しています。 |